【慢性肉芽種症】重い肺炎が続く。単なる「体の弱さ」ではない免疫の病気|こどもの病気とホームケア
小児一般、小児救急・野田 慶太先生
慢性肉芽腫症(まんせいにくげしゅしょう:CGD)ってご存じですか?
子どもが小さいうちは、風邪をひいたり熱を出したりするのはよくありますよね。ですが、もしお子さんが「肺炎を何度も繰り返す」「体の中に膿(うみ)が溜まるような大きな腫れが何度もできる」といったことが続くなら、それは単に“体が弱い”だけではなく、「慢性肉芽腫症(まんせいにくげしゅしょう:CGD)」という免疫の病気が隠れているかもしれません。今回は、この少し難しい名前の病気について、わかりやすくお話しします。
1.体の“兵隊さん”に「弾丸」がない?
私たちの血液の中には、外から入ってきたバイ菌(細菌やカビ)を食べて退治してくれる「白血球」という、いわば体の安全を守る“兵隊さん”がいます。 通常、白血球はバイ菌を食べると、自分の体の中で「活性酸素」という強力な消毒液のようなものを作り出し、バイ菌を死滅させます。しかし、慢性肉芽腫症のお子さんは、生まれつきこの「消毒液(活性酸素)」を作るためのハサミやスイッチが足りない状態にあります。 つまり、兵隊さんはバイ菌を捕まえることはできても、とどめを刺すための「弾丸」を持っていないのです。そのため、体の中に入ったバイ菌がなかなか死なず、悪さを続けてしまいます。
2.こんな症状はありませんか?
この病気のサインは、多くの場合、乳幼児期から現れます。 『リンパ節の腫れ』:首や脇の下のリンパ節が大きく腫れ、膿が出てきたり、切開が必要になったりすることがよくあります。 『皮膚や内臓の「膿瘍(のうよう)」』:皮膚にひどいおできができたり、肝臓や肺の中に膿の塊ができたりします。 『治りにくい肺炎や骨髄炎』:通常よりも強い抗生物質を使わないと治らないような、重い感染症を繰り返します。 『「肉芽腫(にくげしゅ)」ができる』:バイ菌を殺しきれない体は、せめてバイ菌を封じ込めようとして、細胞の塊を作ります。これが「肉芽腫」です。これが腸にできると、下痢や血便など、炎症性腸疾患のような症状が出ることもあります。
3.治療とこれからのこと
もし、この病気が疑われる場合は、血液検査で「白血球がバイ菌を殺す力(活性酸素を作る力)があるか」を詳しく調べます。治療の基本は「予防」です。 『薬の継続』:バイ菌やカビに感染しないよう、毎日予防的に抗生物質や抗真菌薬を飲み続けます。 『清潔な環境』:土いじりや古い建物の掃除など、カビの胞子を吸い込みやすい環境を避ける工夫も大切です。 そして、現在は「造血幹細胞移植(骨髄移植)」という根本的な治療法も確立されています。また、将来的には自分の細胞を修復する「遺伝子治療」も期待されています。
最後に
「何度も入院してかわいそう」「自分のせいかな」と、ご自身を責めてしまう親御さんもいらっしゃいます。でも、この病気は生まれ持った特性であり、決して誰のせいでもありません。大切なのは、早く病気に気づき、適切な予防を始めることで、お子さんが大きなダメージを受けずに成長できるようにサポートすることです。もし「普通より感染症が重い気がする」と感じたら、その直感を大切に、私たち小児科医に相談してください。一緒に、お子さんの体を守る方法を見つけていきましょう。