【睡眠時無呼吸】乳幼児の寝返りの多さや「ひどい寝汗」の正体|こどもの病気とホームケア
小児一般、小児救急・野田 慶太先生
重症睡眠時無呼吸って、どんな状態?
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が止まったり(無呼吸)、弱くなったり(低呼吸)することを繰り返す病気です。その中でも「重症」とは、酸素の低下がひどい、または無呼吸の回数が多いなど、体の負担が非常に大きい状態を指します。 特に2歳以下の乳幼児の場合、重症化すると成長や発達に大きな影響を与えることがあるため、保護者の方に正しい知識を持っていただくことが重要です。
2歳以下の赤ちゃん・乳幼児の特徴
大人の無呼吸症候群は肥満が主な原因となることが多いですが、2歳以下の乳幼児では原因が異なります。この時期の子どもは、喉の空気の通り道(気道)がとても狭いため、少しの異変で重症化しやすいのです。 主な原因は、以下の通りです。 ・アデノイド・扁桃腺の肥大: 特に幼児期以降の主な原因ですが、2歳以下でもこれが関与することはあります。 ・生まれつきの気道の問題: 喉頭軟化症や喉頭のう胞など、生まれつき喉の構造に異常がある場合。 ダウン症候群など、特定の症候群を持つお子さんは、生まれつき気道が狭い、または筋力が弱い傾向があります。 ・顎が小さい:下顎が小さく、舌の付け根が気道を塞ぎやすい場合(小顎症など)
見逃したくない!危険なサイン
眠っている時の様子を注意深く観察することが、早期発見の第一歩です。 − 睡眠中のサイン− ・大きくて苦しそうないびき:普通のいびきのような「ガーガー」音ではなく、途中で息が詰まるような音や、呼吸するたびに胸がへこむ様子(陥没呼吸)が見られる。 ・無呼吸:10秒以上呼吸が完全に止まる。または、無呼吸の後に「ハッ」と大きな音を立てて息を再開する。 ・寝相が悪い:苦しくて何度も寝返りを打つ、首を反らす、特定の体勢でないと眠れない。 ・大量の寝汗:呼吸の努力が大きいため、通常よりもひどい寝汗をかく。 − 日中のサイン− ・成長/体重増加の遅れ:夜間の呼吸が不安定なため、体力を消耗し十分な成長に必要なホルモン分泌や栄養摂取が妨げられる。 ・日中の眠気/不機嫌:夜間にしっかり眠れていないため、日中も機嫌が悪かったり、ウトウトしたりする。
深刻な影響と早期治療の重要性
2歳以下の重症睡眠時無呼吸は、単に睡眠の質が悪いという問題に留まりません。 ・発達への影響:重度の酸素不足は、脳の発達に悪影響を及ぼす可能性があります。 ・心臓への負担:呼吸が止まると心臓に大きな負担がかかり、将来的な合併症のリスクを高める可能性があります。 − 診断と治療− 無呼吸が疑われる場合は「睡眠ポリグラフ検査」という専門的な検査で、睡眠中の呼吸の状態、酸素濃度、心拍などを詳しく調べます。 治療は原因によって異なりますが、2歳以下の重症例ではすぐに治療が必要です。 ・気道の確保:鼻にチューブを入れて空気を送るCPAPや、口に合わせたマウスピースなどを使って、寝ている間の気道を広げます。 ・手術:扁桃腺やアデノイドが原因の場合は手術で切除します。また、生まれつきの構造異常が原因の場合は、その構造を治す手術が必要になることもあります。
最後に
お子さんでの睡眠時無呼吸は耳慣れないかと思います。少しでも睡眠時無呼吸かな?あるいは呼吸がおかしいかな?と感じた際には、眠っている時の様子をスマートフォンなどで動画に撮っておくことも診察時の重要な情報となります。 もし、お子さんのいびきや呼吸の様子に不安を感じたら、「気のせい」で済ませず、私たち小児科医や専門の耳鼻咽喉科にご相談ください。早期に適切な治療を行うことで、お子さんの健やかな成長を守ることができます。