こそだてドクターのおはなし

【ディスレクシア】読み書きの苦手。やる気のせいではない「脳の特徴」|成長のきろくとヒント

小児一般、小児救急・野田 慶太先生

掲載日:2026年3月31日

ディスレクシアってどんな状態?

ディスレクシアは、学習障害(LD)の一種で、脳の情報処理の仕方に特徴があるために起こります。決して「本人の努力不足」や「親のしつけ」のせいではありません。 私たちは文字を読むとき、目から入った「文字の形」を「音」に変換し、それを「意味」として理解します。ディスレクシアのお子さんは、この「文字」と「音」を結びつける作業(デコーディング)に非常に大きなエネルギーを必要とします。 『お子さんが見せている「サイン」の例』 − 読みの困難 ・一文字ずつ区切って読む(逐次読み) ・勝手に言葉を読み替えてしまう(例:「いぬ」を「ねこ」と読む) ・どこを読んでいるか分からなくなる − 書きの困難 ・鏡文字(左右反転した文字)を書く ・漢字の細かい部分を間違える(棒が一本足りない など) ・助詞(「は」と「わ」など)の使い分けが難しい

なぜ「気づかれにくい」のか

ディスレクシアのお子さんは、耳から聞く理解力や、図形を捉える能力などは非常に高いことが多いです。そのため、周囲からは「頭がいいのに、やる気がないだけ」「落ち着きがないから読み間違える」と誤解されやすいという特徴があります。 本人は人一倍努力しているのに、結果が伴わず、学校生活で自信を失ってしまう「二次的な問題」が最も心配されます。

診断とサポート

もしディスレクシアが疑われる場合は、小児科や発達外来などで知能検査や読み書きの専門的な検査を行います。ディスレクシアは「治す」ものではなく「その子に合った学び方」を見つけることがゴールです。 目が悪い子がメガネをかけるように、ディスレクシアのお子さんにも適切な「道具」や「配慮」が必要です。 ・ICT(デジタル機器)の活用:教科書の内容を読み上げてくれる音声教材を使ったり、タブレットで入力をしたりすることで、学びのハードルを下げられます。 ・合理的配慮:テストの時間を延長する、回答を口頭で伝える、ふりがな(ルビ)を振るなどの配慮を学校と相談します。 ・環境の工夫:読みやすいフォント(書体)を使ったり、行を飛ばさないようにガイド(リーディングトラッカー)を使ったりすることも有効です。

最後に

ディスレクシアのお子さんは、独自の視点や豊かな創造性を持っていることが多く、海外では多くの著名人がディスレクシアであることを公表しています。 大切なのは、読み書きの苦手さだけでその子の全てを判断しないことです。まずは「苦労していたんだね」とお子さんの努力を認め、得意なことを伸ばせる環境を一緒に作っていきましょう。 「もしかして?」と思われたら、一人やご家族だけで悩まずにぜひ学校や小児科へご相談ください。