【口唇口蓋裂】1歳半までの治療ステップと目安|こどもの病気とホームケア
小児一般、小児救急・野田 慶太先生
「口唇口蓋裂」と診断されたら〜専門チームに相談を〜
お子さんがお腹にいるとき、または生まれた直後に「口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)」と診断され、不安に思っているご家族もいるかもしれません。 口唇口蓋裂はおよそ500人に1人の割合で生まれてくる、比較的頻度の高い先天性の病気です。 この病気は、お腹の中で赤ちゃんの顔が作られる過程で、唇や上あご(口蓋)の一部がくっつかずに裂け目が残ってしまう状態をいいます。原因はまだはっきりと分かっていませんが、遺伝的な要因や環境的な要因が複雑に絡み合って起こると考えられています。 しかし、ご両親に何らかの原因があるということはありません。ご自分やパートナーを責めないでください。 このコラムでは、口唇口蓋裂について、そして、お子さんが安心して成長していくためのサポート体制についてお話しします。
口唇口蓋裂のお子さんが直面する課題
口唇口蓋裂があると、生まれた直後からいくつかの課題に直面することがあります。 ・おっぱいやミルクが飲みにくい 唇や上あごに裂け目があるため、うまく口の中を密閉できず、母乳やミルクを吸い込む力が弱くなってしまいます。専用の哺乳瓶や工夫次第で、おっぱいやミルクを飲むことはできますので、ご安心ください。 ・言葉の発達が遅れることがある 上あごに裂け目があると、鼻に空気がもれてしまい、はっきりとした声が出せないことがあります。また、言葉の発達が遅れてしまうこともあります。 ・耳の病気になりやすい 口蓋裂があると中耳炎を繰り返しやすい傾向があります。これは、耳と鼻をつなぐ管(耳管)の機能がうまくいかないことが原因です。 しかし、これらの課題は、適切な治療とサポートで克服していくことができます。
専門チームによるトータルサポート
口唇口蓋裂の治療は、一つの診療科だけで行われるものではありません。形成外科、歯科、耳鼻咽喉科、小児科、言語聴覚士、看護師など、様々な専門家が協力し、お子さんの成長段階に合わせて、長期にわたるサポートを行います。 治療の中心は、手術です。 ・口唇形成術(唇の手術):生後3~6ヶ月頃に行われることが多いです。 ・口蓋形成術(上あごの手術):生後1歳から1歳半頃に行われることが多いです。 これらの手術によって、おっぱいやミルクを飲みやすくなったり、発音の改善が期待できます。その後も、成長に合わせて歯並びの治療や、ことばの練習(言語指導)など長期的なサポートが続きます。
最後に
診断されたばかりの時は不安でいっぱいになるかもしれません。しかし、口唇口蓋裂は適切な治療とサポートを受けることで、見た目も機能も改善し、ほとんどの場合、他の子どもたちと変わらない生活を送れるようになります。 インターネットで情報を調べすぎたり、一人で抱え込んだりせず、まずは病院の専門チームにご相談ください。多くの病院に口唇口蓋裂の専門チームがいます。ご家族の不安に寄り添い、お子さんが健やかに成長できるようなサポートが受けられると思います。