こそだてドクターのおはなし

【RSウイルス】赤ちゃんは要注意!治療と予防|こどもの病気とホームケア

小児一般、小児救急・野田 慶太先生

掲載日:2026年3月31日

小児科医が解説! RSウイルス感染症ってどんな病気?

今回は、特に小さなお子さんをお持ちのご家庭で心配されることの多い、「RSウイルス感染症」についてお話しします。

RSウイルスってどんな病気?

RSウイルス感染症は、主に冬から春にかけて流行することの多い、呼吸器の感染症です。インフルエンザと同様に、感染者のくしゃみや咳、鼻水に含まれるウイルスを吸い込むことで感染します。また、ウイルスがついたものに触れて、その手で口や鼻を触ることでも感染します。 この病気の一番の特徴は、年齢によって症状の重さが大きく変わることです。 大人の場合、RSウイルスに感染しても風邪と区別がつかない程度の軽い症状で済むことがほとんどです。しかし、生後1歳未満、特に生後6ヶ月未満の赤ちゃんが感染すると重症化しやすいため注意が必要です。

赤ちゃんが感染するとどうなる?

赤ちゃんがRSウイルスに感染すると、多くの場合、最初は鼻水や咳といった風邪のような症状が現れます。しかし、その後に症状が重くなると、以下のような症状が見られることがあります。 ・「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった、喘息に似た呼吸音(喘鳴) ・呼吸が速くなる、苦しそうになる ・発熱 ・ミルクが飲めなくなる ・ぐったりして元気がない これは、ウイルスの影響で気管支が炎症を起こして細くなってしまうためです。特に、月齢の低い赤ちゃんは気管支も細く、免疫機能も未熟なため、気管支炎や肺炎を引き起こし、入院が必要になるケースもあります。

治療と予防

残念ながら、RSウイルスに直接効果を示す治療薬はありません。症状を和らげるための対症療法が中心となります。症状が強い場合には、酸素吸入や点滴、痰を出しやすくする吸入などを行います。 重症化を防ぐために最も重要なのは予防です。 特に小さい赤ちゃんがいるご家庭では、以下の点を心がけましょう。 ・手洗いを徹底する:帰宅後や調理の前や食事の前には石けんを使ってしっかりと手を洗いましょう。 ・感染を広げない:家族に風邪のような症状がある場合にはマスクを着用するなどして、赤ちゃんへの接触を避けるようにしましょう。 ・人混みを避ける:流行期にはできるだけ人混みへの外出を控えましょう。 ・身の回りのものを清潔に保つ:おもちゃやドアノブなど赤ちゃんが触れる場所をこまめに消毒しましょう。 早産児や心臓、肺に病気を持つお子さんの場合、RSウイルスに感染すると重症化するリスクが非常に高いため、予防のためにシナジスという注射薬を注射することがあります。他にもベイフォータスという注射薬も発売されました。これらのお薬についてはかかりつけの小児科医と相談して検討しましょう。 また、母親の体内でRSウイルスに対する抗体を作り、胎盤を通して赤ちゃんに移行させることで出生後の赤ちゃんをRSウイルスから守るための妊婦さん用のワクチンもあります。かかりつけの産婦人科で確認されてみるといいでしょう。

こんな症状が出たら病院へ

RSウイルス感染症が疑われる場合や、お子さんの様子がおかしいと感じた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。特に、以下の症状が見られた場合は、すぐに病院に連絡してください。 ・呼吸が苦しそう、肩で息をしている ・唇の色が悪い(紫色になっている) ・ミルクを全く飲まない、または飲んでも吐いてしまう ・ぐったりしていて、呼びかけに反応しない これらの症状は、病状が悪化しているサインかもしれません。 RSウイルス感染症は、乳児期には特に注意が必要な病気ですが、適切な予防と早めの対処で乗り切ることができます。心配なことや気になることがあれば、いつでも小児科医にご相談ください。