「こどもがつらい時くらい、ゆっくり休ませてあげたい」母親×ドクター目線で話す、インフルエンザ対策
小児一般・田村 麻由子先生
インフルエンザの基礎知識
季節性インフルエンザはおおむね秋から冬にかけて流行するウイルス感染症であり、通常の風邪よりも強い症状(発熱、咽頭痛、筋肉痛)をきたします。頻度は低いですが重症化すると肺炎やまれに脳症を起こすことがあります。シーズンの始まる前に予防接種を受けること(生後6か月以上)で発症や重症化の予防につながります。また発症した場合はすみやかに治療を開始することで発熱の期間を短くすることができます。
小さな子供がいて、感染リスクを下げたいです。
特に小さいお子さんのいる家庭では、家族みんなで予防接種を受けて、感染リスクを下げることが大事です。ほかにも、一般的な感染対策、すなわち手洗いの励行、マスク着用、部屋の換気などが有効です。家族の中で発症した人がいる場合、生活空間を分けて感染予防を行うことも重要です。
大事なイベントがあって、どうしても休めないときは?
受験など大切なイベントを控えるお子さんには、インフルエンザ予防投与が有効となる場合があります。基本的には、発症者との接触後に抗インフルエンザ薬を予防的に使用します(治療の用法用量と異なります)。薬の使用適性や年齢に応じて選択肢があり、医師と相談し副作用も理解した上で判断します(保険適応外)。免疫が弱くなる持病や免疫抑制治療中の方にも予防投与が検討されるため、かかりつけ医にご相談ください。
登園、登校の目安を教えてください。
インフルエンザは学校保健安全法で、登園・登校停止期間が定められています。園児は発症した日を0日として5日を経過し、かつ解熱後3日を経過するまで登園できません。小学生以上は発症後5日を経過し、かつ解熱後2日を経過するまで登校できません。その期間が過ぎていても体調が十分に回復していること、園や学校での生活に支障がないことを確認してから登園・登校するようにしましょう。
登園・登校許可証がオンライン発行できるの?
忙しい朝に、登園・登校許可証をもらうために朝からやみあがりのこどもを連れてクリニックに並ぶ、というのはとても大変ですよね。そこまでに親御さんもすでに何日にも仕事を休んでいたら、またそのために休まなければならなかったり・・・。そんなときにはオンライン診療で登園・登校許可証を発行することができます。
医師として、保護者として伝えたいこと
私も3人の園児、小学生を育てる親として、子供たちが感染症にかかったときの、めまぐるしい苦労を何度も経験しています。 熱が出たら検査を受けさせて、治療を受けさせて、看病して、場合によっては病児保育を手配して。病児保育にも改めて医師の診断書が必要ですよね。そして自分の仕事も調整しなければならないし、回復したら登園・登校許可証をもらうためにまたまた受診をして・・・。 こどもが体が辛いときくらい、ゆっくりおうちで休ませてあげたいしそれに寄り添いたいのに、なかなかそんな暇もないですよね。オンライン診療でできることはなるべく手軽に、そのお手伝いができれば幸いです。