一人で抱え込まないで!オンラインを活用したこの冬のインフルエンザ対策【季節性疾患】
新生児、小児一般・北瀬 悠磨先生
今年のインフルエンザ流行と予防接種について
インフルエンザは急な高熱と全身のだるさが出る「全身感染症」で、昨冬に続き今季も大きな流行が予想されています。 ワクチンは発症を完全に防ぐものではありませんが、肺炎やインフルエンザ脳症などの重症化を減らすことが主な目的です。脳症は主に5歳以下に多く、ときに後遺症や命に関わることもあるため、「重くなりにくくするための予防接種」と考えていただければと思います。
こどもがいる家庭で気をつけるべきことは?
同じ家の中で「絶対にうつさない」ことは正直むずかしいですが、うつる量を減らす工夫はできます。 こまめな手洗い、咳のときのマスク、短時間でもよいので窓を開けて換気をすること、タオルやコップを共有しないことが基本です。看病する大人が倒れると家庭全体が回らなくなりますので、自分自身もマスクや手洗い、十分な睡眠で守ってください。「完璧」ではなく「できることを積み重ねる」で十分です。
受験生がいる家庭で気をつけるべきことは?
受験生がいるご家庭では、「家族の誰かがインフルエンザになったらどうしよう」という不安が大きくなります。まずはワクチンと、十分な睡眠・食事・生活リズムが土台です。 そのうえで、家族内で患者さんが出た場合には、抗インフルエンザ薬をあらかじめ飲む・吸入する「予防投与」という選択肢があります。発症した人との濃厚接触があり受験直前など、場面をかなり絞って使われる方法で、感染を完全に防ぐ薬ではありません。 通常は家族の発症から48時間以内に始める必要があり、オンライン診療でも状況をうかがいながら適応を判断し、条件が合えば処方まで完結できますので、不安なときは早めに相談してみてください。
インフルエンザにかかってしまった!登園や登校の目安は?
インフルエンザによる出席停止の目安は、一般的に「発症した日を0日と数えて5日を過ぎ、かつ解熱後2日(幼児は3日)」とされています。熱が下がり元気なのに、「許可証の紙だけのために受診」するのは負担が大きいですよね。特にインフルエンザの患者さんでごった返している外来待合室では、型の違うインフルエンザや他の感染症にかかる可能性もあります。 オンライン診療では、ご自宅からスマホやPCでお子さんの様子をうかがいながら経過を確認し、基準を満たしていれば、そのまま登園・登校許可証を発行できます。 オンラインは「書類のためだけの受診」を減らしつつ、必要なときはきちんと医療につなぐための窓口、と考えていただければと思います。
この冬の大流行に向けて、先生からのメッセージ
インフルエンザの迅速検査は、発熱してすぐだと陰性に出てしまうことがあり、1日ほど経ってからの方が正確です。一方で、ぐったりしている、息が苦しそう、水分がほとんど取れないなど心配なサインがあれば、タイミングにこだわらず早めに受診してください。 抗インフルエンザ薬は、発症から48時間以内に使うと効果が高いとされ、それを過ぎると多くは解熱時期があまり変わらず、解熱剤や水分補給などの対症療法が中心になります。 親としては「全部ちゃんとやらなきゃ」と背負い込まず、看病のバトンを家族で回しつつ、不安なときに相談できる場所を一つ決めておくことをおすすめします。「いつもと違う」「なんだか怖い」と感じたら、その直感を大切にして、遠慮なく医療機関に相談してくださいね。