こそだてドクターのおはなし

心配すべき?重篤なインフルエンザやA型、B型の違い【季節性疾患】

小児一般、遺伝、血液・福田 誠司先生

掲載日:2025年12月1日

インフルエンザとは?

インフルエンザウイルスによって感染する上気道感染症です。 簡単に言うと風邪の一種類ですが、症状が一般の風邪よりも強いです。 ヒトでの流行原因となるインフルエンザウイルスはA型とB型ですが、A型はH1N1タイプ(いわゆるパンデミックタイプ)とH3N2タイプ(いわゆる香港型)に分かれます。主として冬場の感染症ですが、2025年は11月から流行時期に入っており地域によっては警戒レベルを超えています。症状は急激な発熱、倦怠感、咳、咽頭痛、鼻汁などに加えて嘔吐を起こす患者さんもおられます。 また、稀ですが、肺炎に至ったり、痙攣や意識障害を伴う急性脳症と呼ばれる最重症に至る場合もありますので油断はできません。

家庭内感染予防のポイントは?

感染予防の基本は手洗いです。もし家庭内に感染者がおられる場合には感染回避は困難かもしれませんが、お家でもマスクを着用し、頻回の手洗い、アルコール手指消毒で家庭内感染を回避しましょう。 トイレのドアノブや便座、洗面所など水回りにもウイルスが排出されている可能性がありますので普段より注意しましょう。 タオル、バスタオルの共有は避けることが大切です。 うがいや室内保湿も有用ですが、窓の閉めっぱなしは好ましくありません。時々換気をすることで室内に充満したインフルエンザウイルスを室外へ排出しましょう。

受験生のこどもがいる場合にできることは?

これから受験シーズンですので受験生がおられるご家庭では感染予防に関しては例年以上に気を付けておられると思います。 しかし、このような感染大流行がある場合は、どれだけ注意していても知らずに感染する可能性はあります。ご家族が感染してしまった場合などで受験生がおられて試験が間近という場合はどうしたらよいでしょうか?  各ご家庭でのご事情と相談にはなりますが、上記の家庭での感染予防に加えて、抗インフルエンザウイルス薬の予防投薬という方法もあります。この場合は保険診療扱いではなく、自費診療扱いとなります。 予めご承知の上、かかりつけ医やお近くのクリニックなどへご相談ください。

気をつけていたけど、インフルエンザにかかってしまったら?

また、インフルエンザウイルス感染してしまった場合には、感染された患者様の回復が最重要事項ではありますが、周囲へ感染を拡大させないということもとても大切な配慮項目です。 感染拡大防止目的で登園、登校可能日を定めた一律のルールがありますので、それらを守っていただくことが必要です。その際、学校や保育園、幼稚園などでは医療機関からの登園、登校許可書の提出を求められる場合があります。受診された医療機関で証明書を発行してもらうことがベストですが、受診できない場合などはオンラインクリニックでも発行することも可能です。 発症日、解熱した日、現在の症状などの情報を確認し、診察によって適切な登園、登校日を判断いたします。

予防接種は受けたほうが良い?

予防接種は感染予防効果が完ぺきではありませんが、重症化を防ぐことが示されていますので、先に述べた肺炎や脳症などの深刻な合併症を防止するためにも接種されることを強くお勧めします。 尚、例えばH3N2タイプに罹患してもH1N1タイプやB型には感染する可能性がありますので、罹患してもインフルエンザ予防接種は意味があると思われます。実際、一シーズンに2回A型に感染される方がおられますし、A型にもB型にも感染される方は日常診療でしばしば見かけます。 まだ、接種を終えておられない方は是非接種されることをお勧めします。