季節性疾患【プール熱(咽頭結膜熱)】
小児救急、アレルギー、感染症、小児科一般・河合亜紀先生
プール熱の特徴
アデノウイルスを原因とする、発熱、咽頭炎、眼症状を認める急性のウイルス性感染症になります。感染経路としては通常飛沫感染や手指を介した結膜、上気道からの感染です。アデノウイルスは様々な血清型があり、肺炎・気管支炎や膀胱炎、胃腸炎の原因にもなります。季節を問わず発生しますが、通常は夏に流行が見られ、プール熱といわれるように、プールがアデノウイルスで汚染され、水から結膜へ直接侵入して感染が広がるため、塩素消毒と粘膜の洗浄が大切です。
症状
発熱が見られ、喉の痛み、結膜炎を伴う結膜充血、目の痛み、目やになどが見られます。また、首のリンパ節が腫れたり、痛みを認めることがあり、その他、頭痛や食欲不振、咳や鼻水、嘔吐、腹痛、下痢も見られます。通常は3~5日ほど持続し。目の症状は片方から始まり、その後もう一方に出現することが一般的です。眼の感染ということで眼に障害が起こるのでは、とご心配かと思いますが、目に障害を残す残すことは通常ありません。
診断には
粘膜などからウイルスの抗原ががいるかどうかを迅速に調べることができます。施設は限られますが、ウイルスの分離、PCR法などで証明することも可能です。
治療法
残念ながらアデノウイルスに対する有効な抗ウイルス薬はありません。基本的にはお子様の症状を和らげるお薬を使ってサポートを行い、ゆっくり休ませてあげることが大切です。細菌による混合感染予防に抗菌薬を点眼します。
予防方法
まわりに感染している人がいましたら、密接な接触を避けましょう。また流行している時期にはうがいや手洗いをして、消毒をすることが大切です。流水と石鹸を使用して手を洗うか、エタノールを使って消毒しましょう。イソプロパノールには抵抗性があるので注意が必要です。アデノウイルスにかかった場合、便へのウイルスの排泄は感染後長期間続くため、感染が落ち着いた後もおむつ交換時後は手洗いや消毒をしっかりすることが大切です。アデノウイルスに対するワクチンはありません。
登園・登校
学校安全法では第二種伝染病に分類されています。主な症状が消失して2日を経過するまでは登園・登校はできません。