医療コラム

季節性疾患【ヘルパンギーナ(夏風邪)】

小児救急、アレルギー、感染症、小児科一般・河合亜紀先生

掲載日:2025年10月8日

ヘルパンギーナの特徴

 ヘルパンギーナは、主にエンテロウイルス属に属するウイルスに起因し、引き起こされるウイルス感染症です。コクサッキーウイルスA群である場合が多く、コクサッキーウイルスB群やエコーウイルスで発症する場合もあります。 のどや口腔内に特徴的な水疱が認めることで診断され、幼い子供に多く見られます。唾液や糞便などの体液を通じて感染が広がり、特に保育園児などの幼い子供たちの間では感染力が強く集団感染することもあります。

症状

 発熱やのどの痛み、食欲不振、吐き気、嘔吐、口内炎などの症状が見られます。通常数日から1週間ほどで自然に治癒します。重症化することは稀ですが、のどや口内炎の痛みのために水分が取れなくなると、脱水を起こすことがあります。 

ヘルパンギーナの治療

 ウィルス感染症であり、対症療法が中心となります。一般的には自然治癒しますが、症状の緩和や感染拡大の予防のためにいくつかの治療があります。

症状の軽減の為の薬物療法

 高熱時や口腔内の痛みが強い場合には解熱鎮痛剤を使用することがあります。乳幼児で経口摂取が困難な場合には座薬を用います。ただし、15歳未満の小児にはアスピリンは使用しません。

休息と水分摂取

 十分な休息と水分摂取が重要です。特に口の痛みのために食事の摂取が困難な場合は、水分での栄養補給も重要となります。

食事や飲み物の調整

 酸味や刺激のある食べ物、飲み物を避け、のど越しの良い柔らかい食事を与えるようにします。プリンやゼリーは食べやすく与えやすいです。食事が進まないときに、市販のゼリー飲料は栄養値が高く重宝します。

症状が重いとき

 のどや口腔内の痛みがきつい際、乳幼児の場合は水分が取れずに脱水を起こすことがあります。水分がとれず、ぐったりしている、尿量が減っているなどの症状があれば、点滴による水分投与が必要です。夜間や休日などで、受診を迷われる場合は、小児科専門医によるオンライン診療をお気軽にご利用ください。