遺伝子疾患【ダウン症】
新生児、小児一般・北瀬悠磨先生
ダウン症とは?
ダウン症候群は、21番目の染色体が通常より1本多い「トリソミー21」により引き起こされる先天的な疾患です。日本ではおよそ1000人に1人の割合で出生するとされており、最も頻度の高い染色体異常の一つです。多くの場合、妊娠中の出生前検査(NT測定、母体血清マーカー、NIPTなど)や、出生直後の外見的特徴から疑われ、染色体検査によって診断されます。
ダウン症の特徴
主な身体的特徴には、つり上がった目、低くて平らな鼻根部、やわらかな表情、筋緊張の低下(体がふにゃふにゃしている感じ)などがあります。これらに加えて、心臓病(先天性心疾患)、消化管の異常(十二指腸閉鎖など)、甲状腺機能異常、視力や聴力の障害など、さまざまな合併症を伴うことがあります。新生児期には哺乳困難や体重増加不良がみられることもあり、小児期以降には知的発達の遅れが目立つようになりますが、その程度には個人差があります。
ダウン症との付き合い方
ダウン症候群自体を治療する方法はありませんが、合併症に対する早期かつ適切な対応がとても大切です。たとえば心疾患がある場合は小児循環器専門医による診察のもと、手術や内科的治療が行われます。また、甲状腺機能は定期的にチェックし、必要に応じてホルモン補充を行います。視聴覚の検査やリハビリテーション(理学療法・言語療法など)も、発達支援の一環として重要です。
最後に
ダウン症候群のお子さんは、穏やかで感受性豊かな性格を持つことが多く、愛情を受けて育つ中で、笑顔や思いやりの心を育んでいきます。家族や周囲の理解と支えがあれば、安心して成長できる環境を整えることができます。医療的ケアと社会的支援を組み合わせ、その子らしさを大切にした発達を一緒に見守っていきましょう。疑問や不安があれば、いつでもかかりつけの小児科医にご相談ください。